小学校で生成AIを導入するならどれ?3サービスを比較してみた

2026.08.21

ChatGPTやClaudeのような一般向け生成AIサービスは、多くが利用規約で13歳以上を対象としています。

つまり、小学1年生本人がアカウントを作って直接使う、という前提には向いていません。

では、小学1年生から実際に使える生成AIはあるのか。

今回は「Gemini for Education」「スクールAI」「スタディポケット」の3つを、公式サイト・利用規約・プライバシーポリシー・導入事例などの一次情報だけを根拠に比較しました。

機能の多さよりも、

  • 児童本人が直接使えるのか
  • 入力内容がAIの学習に使われないか
  • 教員がきちんと管理できるか

を優先して整理しています。

情報は2026年8月21日時点の公式情報に基づきます。

3サービスとも、実際にAIと対話する操作画面まではログイン・学校契約・本人確認のいずれかが必要で、匿名で試せる状態にはなっていませんでした。そのため、この記事に掲載しているスクリーンショットは各サービスの公式サイトのトップページのみで、AIの操作画面ではありません(詳しくは各サービスの「注意点」に記載しています)。

1. Gemini for Education

Googleが学校向けに提供する、Google Workspace for Education向けのGemini。個人向けGeminiアプリと同じ土台を使いながら、学校組織向けの管理・データ保護機能が追加されたものです。

Gemini for Education 公式サイトのトップページ

Gemini for Education 公式サイト(edu.google.com)のトップページ

小学1年生が利用できる条件

Gemini for Educationは、学校が契約している Google Workspace for Education の管理者が、対象アカウントに対してGeminiへのアクセスを有効化して初めて使えるようになります。児童個人が単独でアカウントを作って使うものではありません。

年齢そのものへの明確な下限は公式ページ上で確認できませんでしたが、18歳未満のアカウントには追加のガードレールが適用されると案内されています。「小学1年生から使えるか」は、最終的には学校側の設定と方針次第、というのが実態に近いです。

学校側で必要な設定

管理コンソールから、Geminiを利用できるユーザーを教育委員会・学校の管理者が個別に管理する仕組みです。有効化しない限り、児童のアカウントでGeminiは使えません。

安全性・データのAI学習利用

Google公式には「お客様のデータは人間によるレビューの対象とならず、AIモデルのトレーニングにも使用されません」と明記されています。Workspace for Educationの契約データとして扱われるため、一般消費者向けGeminiとはデータの扱いが分けられています。

日本の小学校での導入・活用事例

岡山市立平井小学校では、Gemini for Educationを活用し、1年生向けの「20マス計算」アプリや、カタカナ・ひらがなの練習アプリなどが作られている事例が報じられています。ただし、これは学校・教員が主体となってアプリを作成・活用している事例であり、児童が自分でGeminiのアカウントを操作している事例として確認できたわけではありません。

実際に操作した結果

学校のGoogle Workspace管理者による有効化が前提のサービスのため、実際にGeminiと対話する操作画面までは試せませんでした。公式サイトのトップページ画面は確認できましたが(上記のスクリーンショット)、それ以外の情報はすべて公式サイトの記載に基づいています。

良かった点

  • Google Workspace for Educationを既に導入している学校なら、追加費用なしで使える
  • データが人によるレビュー・AI学習に使われないと明記されている
  • 管理コンソールでアクセスを一元管理できる

注意点

  • 「小学1年生から使える」と単純には言い切れず、実際に使えるかどうかは学校のWorkspace管理者の設定次第
  • 児童の氏名・学校名・顔写真など、個人が特定できる情報は入力させない
  • 教員が事前に出力内容を確認したうえで授業に使う
  • Google Workspace for Educationを導入していない学校では、この形での利用はできない

2. スクールAI

株式会社みんがくが提供する、教育現場に特化したAIアプリ作成・利用プラットフォームです。教員が用意した200以上のテンプレートや、教員自身が作ったアプリを、児童・生徒が使う形が基本になります。

スクールAI 公式サイトのトップページ

スクールAI 公式サイト(school-ai.mingaku.net)のトップページ

小学1年生が利用できる条件

公式サイトには「文部科学省のガイドラインに沿って安全に設計されているため、小学生から安心して利用できます」と明記されています。ただし、これは「小学生全般」向けの表現であり、「小学1年生から」という学年を名指しした公式の記載までは確認できませんでした。実際の導入事例でも、学年が明示されているものは高学年〜中学年が中心で、1年生を対象にした事例名は今回確認できませんでした。

児童本人が直接操作できるか

できます。教員がテンプレートを選ぶ・カスタマイズすることで、児童が直接AIと対話する形の授業アプリを作れる設計です。

学校側で必要な設定

学校・教育委員会単位で契約し、管理者IDを発行してユーザー登録を管理する仕組みです。個人の児童が単独で申し込むことはできません。

安全性・データのAI学習利用

公式サイトに「利用されたデータがAIの再学習に使われたり、外部に保存・共有されることはありません」と明記されています。

日本の小学校での導入・活用事例

2026年4月時点で、導入校1,600校以上、利用ID数160,000ID以上(塾・学校その他教育機関含む)と公式に公表されています。小学校の実名事例も複数公開されており、例えば

  • 志布志市立香月小学校(鹿児島県)「書くこと」における動機づけと自律的学習の促進
  • 福井県大飯郡高浜町立内浦小学校 少人数学級での対話活用
  • 西郷村立羽太小学校(福島県) AIとの対話による振り返り実践
  • 札幌市立中央小学校(北海道) 道徳授業での「登場人物と対話する」実践
  • 横浜市立鴨志田緑小学校(神奈川県) 国語の学習意欲向上事例

などが、教員名・学校名付きで公式サイトに掲載されています。

実際に操作した結果

無料体験は用意されていますが、「新規導入を検討中の学校・教育委員会・学習塾等の担当者」向けに、氏名等を登録フォームに入力して申し込む仕組みでした。個人利用者向けの匿名お試しではなく、実際の学校導入を検討する担当者を想定した申込みだったため、今回はこの体験申込みは行っていません。公式サイトのトップページ画面は確認できましたが(上記のスクリーンショット)、それ以外は公式サイトの記載のみを根拠にしています。

良かった点

  • 実際の小学校名を伴う導入事例が豊富で、活用のイメージがつかみやすい
  • 「AIの再学習に使わない」という方針が明確
  • 教員がテンプレートを選ぶ・作る前提のため、児童が使う内容を教員側でコントロールしやすい

注意点

  • 「小学生から使える」という表現はあるが、学年別の詳細な線引きは公式には確認できなかった
  • 児童の氏名・成績・学習履歴などをアプリのプロンプトに直接入力しない
  • 教員が作成したアプリの内容を、公開・使用前に必ず確認する
  • 学校・自治体としての契約が前提で、個人契約はできない

3. スタディポケット

スタディポケット株式会社が提供する、教育機関向けの生成AIサービスです。教員向けの「スタディポケット for TEACHER」と、児童生徒向けの「スタディポケット for STUDENT」に分かれています。

スタディポケット 公式サイトのトップページ

スタディポケット 公式サイト(studypocket.ai)のトップページ

小学1年生が利用できる条件

販売パートナーであるミカサ商事の紹介ページには「教育機関の適切な指導のもと、小学校1年生からご利用可能」と明記されています。一方で、スタディポケット自身の利用規約では、対象は「契約主体(教育委員会・学校法人・自治体等)の管理下で利用する児童生徒」とされており、規約本文そのものには学年を指定する記載は見当たりませんでした。「小学1年生から」という具体的な表現は、現時点では販売代理店側の紹介ページが情報源であることは明記しておきます。

学校側で必要な設定

契約主体(教育委員会・学校法人・自治体・学校設置者等)が発注契約を結び、GoogleまたはMicrosoftのシングルサインオンでID・パスワードを発行する仕組みです。個人が単独で契約することはできません。

安全性・データのAI学習利用

利用規約第9条に「利用者が生成AIに入力した情報は、当該生成AIの学習データとして使用されないよう、オプトアウト設定を適用している」と明記。プライバシーポリシーにも「ユーザーが入力した情報(チャットに送信した内容)が、AIの学習データとして利用することはない」と重ねて記載されています。児童生徒向けに使われるAIモデルは、教職員向けとは別の、年齢・学習環境に応じた限定的なモデルが使われるとされています。

個人情報の扱い

利用規約上、収集される個人情報は主にメールアドレス等のアカウント情報で、入力データは日本国内リージョンで管理。海外サーバーを経由する推論処理があっても、処理後のデータは速やかに削除され保存されない、との記載があります。児童生徒の対話内容は、指導目的で契約主体側の教職員が確認できる場合がある、とも規約に明記されています。

日本の導入・活用事例

公式には全国500校以上での活用支援実績が公表されています。ただし、今回確認できた具体的な学校名付きの事例は、高知県の公立中学校23校での英会話機能活用(6,000回以上利用)や、岡山県教育委員会による実証事業など、中学校・自治体単位の事例が中心でした。小学校名を伴う具体的な活用事例は、今回の調査では確認できませんでした。

実際に操作した結果

for TEACHER・for STUDENTともに、契約主体を通じた申請・SSOログインが前提の設計で、匿名で試せる体験環境は確認できませんでした。公式サイトのトップページ画面は確認できましたが(上記のスクリーンショット)、AIとの対話画面までは試せていません。

良かった点

  • 利用規約・プライバシーポリシーの両方に「AIの学習に使わない」と明記されている
  • データの保管場所(国内リージョン)や海外サーバー経由時の削除ルールまで具体的に記載されている
  • 教職員が児童生徒の対話内容を確認できる仕組みがあり、指導につなげやすい

注意点

  • 「小学1年生から利用可能」という表現は、現状では販売代理店ページが情報源であり、確認できた小学校の実名導入事例もなかった
  • 児童生徒の対話内容を教職員が閲覧できる設計のため、学校としてどこまで確認するかの運用ルールを事前に決めておく
  • 個人情報の入力は避け、匿名加工情報として扱われる範囲についても契約主体側で理解しておく
  • 学校・自治体としての契約が前提で、個人契約はできない

3サービスを比較

比較項目Gemini for EducationスクールAIスタディポケット
小1から利用△ 学校の設定次第、公式な学年明言なし△「小学生から」の明言あり、学年別の明言なし△ 販売代理店ページに「小1から」の記載あり、規約本文に学年明記なし
児童が直接操作○ 管理者が有効化したアカウントで
学校向け○ Workspace for Education経由
無料利用○ Workspace for Education Fundamentalsに含まれ無償有償(体験は無料・要申込)for TEACHERは無償、for STUDENTは契約による
AI学習への利用○ 人的レビュー・学習に使わないと明記○ 再学習・外部保存共有なしと明記○ オプトアウト設定で学習に使わないと規約・ポリシー両方に明記
教員管理機能○ 管理コンソールで一元管理○ 管理者IDでユーザー管理○ 対話内容の確認・指導機能あり
日本の導入事例○ 小学校での活用事例を公式に確認(岡山市立平井小学校など)◎ 小学校の実名事例が豊富(1,600校以上導入)△ 中学校・自治体単位の事例は確認、小学校の実名事例は確認できず
低学年向けUI公式ページ上での明記は確認できず公式ページ上での明記は確認できず公式ページ上での明記は確認できず
導入のしやすさWorkspace for Education導入済みならすぐ問い合わせ・体験申込みから契約主体による発注契約が必要

どれが向いているか

単純な1位・2位・3位ではなく、学校の状況に合わせて選ぶのが現実的です。

  • Google Workspace for Educationを導入済みの学校 → 追加費用なしで使えるGemini for Educationが検討しやすい
  • 小学校での具体的な活用イメージを先に知りたい学校 → 実名の小学校事例が豊富なスクールAI
  • 教員が児童の対話内容を確認しながら段階的に導入したい学校 → 管理・確認の仕組みが規約上明確なスタディポケット
  • まず小規模に試したい学校 → スクールAIの体験申込み(学校・教育委員会の担当者向け)から始めるのも一つの方法

注意点

3サービスに共通する注意点です。

  • AIの回答をそのまま正解として扱わない。生成AIである以上、誤情報や不自然な回答が出る可能性がある
  • 教員が内容を事前・事後に確認したうえで授業に使う
  • 児童の氏名・学校名・住所・顔写真・成績・学習履歴など、個人が特定できる情報は入力させない
  • 学校・自治体が独自に定めるAI利用ルールやセキュリティポリシーに従う
  • 児童だけに任せきりにせず、発達段階に合わせて教員が関与する

まとめ

小学1年生でも使える生成AIは、実際に存在します。ただし、その多くは「学校が契約し、教員が管理する」ことを前提に安全性が成り立っている仕組みでした。

一般向けの生成AIをそのまま小学生に使わせるのではなく、教育機関向けに安全性・管理機能が整えられたサービスを、学校としてきちんと選ぶこと。それが、今回3サービスを比較して一番はっきりした結論です。

確認した主な公式情報

情報は2026年8月21日時点のものです。各サービスの規約・仕様は変更される可能性があるため、実際の導入検討時は必ず最新の公式情報を確認してください。

«